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ライスターの名演:ブラームス「クラリネット三重奏曲」
ブラームス:クラリネット三重奏曲
アーティスト:ライスター(カール) |
有名なクラリネット奏者による演奏のうち、自分の非常に印象に残ったものを1つずつあげていこうかと思う。自分の入手した&聴いた狭い範囲なので、取りこぼしは多いにあると思う。ご了承願いたい。
まず第一回目は20世紀を代表する奏者といってもよいであろう、カール・ライスターを取り上げる。ライスターは年齢を重ねるにつれて進化した偉大なプレーヤーだと思うけれども、意外に進化後のソロの名演がないような気がする(あえてあげるとすればレーガーかな・・・それに比べて、オーケストラのソロは進化後のほうが名演が多い気がする)。音の美しさは増していると思うのだが、音楽的内容に若干の不満を覚えるのだ。そんな中で彼を代表する演奏として、あえて若いころ(確か20台)のブラームスの三重奏をあげる。ブラームスというと五重奏のほうがメジャーだけれども、この演奏は名演だと思う。ピアノはかなり良い雰囲気だ。ブラームスでは、ソナタも三重奏もピアノの役割が非常に重要だ。またチェロも良い。ラストはかなり盛り上がる。録音も非常に良い。三重奏に馴染みのない人には是非聴いていただきたい名演だ。
20世紀音楽のバイブル:ラサールQ
新ウィーン楽派の弦楽四重奏曲集(4枚組)
販売元:Brilliant Classics |
20世紀音楽のバイブルとも言える、ラサール弦楽四重奏団の新ウィーン楽派の四重奏曲集が廉価版となって発売された。リンクはamazonだが、自分はHMVで割引で2000円以下で入手した。4枚組でこの値段で買えるとは良い世の中になったものだ。聴いてみたが、今の耳で聞いても全く古さを感じさせない。偉大な演奏だ。バランス・技術・・・完璧なアンサンブルとはこういうものを言うのだろう。特にシェーンベルクが素晴らしいと思う。シェーンベルクのカルテットは、最近、録音や演奏会で見かけることは少ないと思う。しかし、2番は(歌が入るという変則的な曲だが)大変な傑作だと思うし、1番も後期ロマン派的な薫りの高い、とは言ってもマーラー等とは一味違った、濃い独特の世界だ。
このCDだが、廉価版にありがちな音の雑さはなく、優秀なマスタリングだと思う。後継者たちが、凌駕しようという意欲を失わせるような決定版と言えるだろう。現在、販売されていないツェムリンスキーの全集のCD化も望まれるところだ。
フーガの技法 by ミュンヒンガー
バッハ:フーガの技法、他
アーティスト:ミュンヒンガー(カール) |
自分が購入したのは輸入盤で1600円くらいだった(2枚組)。レビューで割とほめられてて高くないし、試しに買ってみた。弦楽合奏によるものだ。
一聴して・・・古っ・・・。録音が古いのではない。解釈が古いのだ。今どきこんなロマンチックなバッハは聴けない。ストコフスキーかよ・・・とか突っ込みたくなった。はずしてしまった・・・ヤフオク出すか。フーガの技法は名曲だと思うので、何か良い演奏がないかと思っているのだが・・・。
カラヤンによる新ウィーン楽派
昨日紹介した、カラヤンによる新ウィーン楽派管弦楽曲集だが、一通り聴くことができた。この録音をカラヤン最高のものという人もいる。私の感想だが、シェーンベルクは総じて名演であったが、ベルクとウェーベルンはあまり評価できない。何か、時代がかっているというか、身振りが大げさなのだ。まるで、フルトヴェングラーのベートーヴェンを聞かされているみたいだ。今となっては古い演奏だ。我々はブーレーズ等によるスリムで整理されたウェーベルンやベルクを知ってしまっている。カラヤンにとっては、「現代」音楽だったんだろう。しかし、我々からすれば、これらは前世紀の古典音楽だ。シェーンベルクが成功しているのは、その演奏スタイルと曲がマッチしているからかもしれない。
高音質CD初体験:カラヤン・ベルク他
新ウィーン楽派管弦楽曲集
アーティスト:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン(ヘルベルト・フォン) |
高音質CDにはずっと興味があって、いつか買おうと思っていたが、やっと一組入手することができたのでレビューしてみよう。高音質CDとは何かというと、従来のCDと全く互換性を持ちながら、ブルーレイディスク等で得られたノウハウを投入することによって、音質を向上したというもので、CD出版3陣営(ユニバーサル・EMI・ソニー)からそれぞれ規格が出ている。
選んだのは、カラヤンによる新ウィーン楽派管弦楽曲集である。これはLP時代の名盤とされている。高音質CDはなかなか割引で売っていないのだが、これはHMVで23%オフの対象になっていたので買ってみた。SHM-CDという規格で、CD素材に液晶パネル用途のポリカーボネート樹脂を使用しているため透明性が向上し、正確なビットを形成できるのだそうだ。自分はこれのCD版については、ベルクの2曲だけを、ベルク全集の一部として持っているので、それと比較してみることにしよう。
まず、元のCD版についてだが、カラヤン主義者の私を持ってしても、うるさいと思わせる演奏だった。ベルクの演奏としては、必ずしも優れたものではない。力で押しまくっている。録音は情報量は多いもののややノイジーな感じであまり優秀な録音とは思っていなかった。
さて、SHM-CDを聴いてみた。・・・。うーん。やはりうるさいというのは変わらない。ただピアノの分解能がちょっとあがってるかな〜という気がするが、気のせいっぽいような気もする・・・。値段の差ほどのありがたみはないようだ。
ちなみに、一緒に入っていた浄夜を聴いてみたら、これはすごい演奏だった。録音も多少うるさいが優秀だ。高音質CD関係なく名演の一つに数えることができるだろう。
黛敏郎:涅槃交響曲
黛敏郎:涅槃交響曲
アーティスト:岩城宏之,東京混声合唱団 |
涅槃交響曲は黛の代表作ということは知っていたが、聴くのは初めてだ。この曲は鐘の音をオーケストラでシミュレートするという発想で作られているのだそうだ(もっと宗教的かと思ったらそうでもない)。歌(というかお経というか)はちょっとどうかなと思うが、このモダンな音響は嫌いじゃない。演奏は大変優秀だと思う。録音も極めてよい。作曲者の死(1997年)の直前(1995年)に、作曲者の監修によるこのような優れた演奏が残ったのは幸運と言えよう。歴史に残る名作かは多少疑問だが、私にとっては邦人作曲家だったら、武満よりは、黛とか三善晃などのほうがずっとしっくりくるのだ。
フォーレ賛:レクイエム
Faure: Requiem; Messe des Peheurs de Villerville
販売元:Harmonia Mundi |
自分は、フォーレを嫌いじゃない。ドビュッシーやラベルよりも好きかもしれない。ちなみにショーソンも嫌いじゃない。自分はちょっと頭が古いのだろうか。しかし、フランスの作曲家でその次となるとメシアン・クセナキスまで飛んでしまう。レクイエムもペレアスも素晴らしいと思う。ピアノ曲はピンと来ないが。次の水曜日に神奈川県音楽堂で演奏するので、フォーレ好きは来たれ・・・(演奏の質は保証しない)
さて、このCDだが、レクイエムの1893年版だ。原典版と書かれて売られていることもあるようだが、ウィキペディアによると第2稿のようだ。きれいで、胸に染み入るようなしみじみとした演奏だ。録音も大変よい。(自分にとって)残念なのは、クラリネットがないことだ。これは仕方ない。まあ、あっても一曲しかないが。とりあえず、自分はこれで満足だ。また、CDジャケットが非常に洒落ている。
ヴィラ・ロボスを聴く
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ 販売元:セブンアンドワイ セブンアンドワイで詳細を確認する |
EMIクラシックスBEST100で、3枚CDを買うと1枚もらえるという企画にのってみて入手した。普段あまり買いそうにないものを選ぼうということで、ヴィラ=ロボスにしてみた。今まで室内楽は聴いたことがあっておもしろいと思っていた。2番はオーケストレーションがすっきりせず、基本ゴチャゴチャしている感じでイマイチだ。それは西洋音楽に慣れた耳だから仕方ないのかもしれない。トッカータはそのエネルギー感が少しおもしろい。6番はFl・Fgの二重奏だがおもしろい。9番は弦楽合奏だが結構かっこよい曲で、まさにブラジル風バッハという感じ。全体に録音はあまりよくない。
マイヤー vs. フックス
ニールセン/Flute Concerto Clarinet Concerto Wind Quintet: Pahud(Fl) S.meyer(Cl) Rattle / Bpo Baborak(Hr 販売元:HMVジャパン HMVジャパンで詳細を確認する |
ベルリン・フィル因縁の対決?・・・とは言っても、別に直接対決ではない。
ザビーネ・マイヤーは若い頃にベルリン・フィルとトラブルを起こして(というか受け入れられなくて)、入団できなかった・・・という話は有名だ。しかし、今はこんなCDがある。マイヤーがソロを吹き、ベルリン・フィルが伴奏する。加えて、パユらベルリン・フィルの木管トップメンバーと木管五重奏までやっちゃう。ベルリン・フィルはマイヤーを受け入れられるようになったのだろうか?しかし、こうなると、主席であるフックスくんの立場がないではないか・・・。フックスはベルリン・フィルと協奏曲入れてたかな?・・・思いつかない。自分は、マイヤーの実力は認めるところだが、何となく話題作りを狙ったCDにも思える。演奏は普通に良いです。
カラヤン「英雄の生涯」聞き比べ
シュトラウス(リヒャルト) / 『英雄の生涯』、『死と変容』 カラヤン&ベルリン・フィル 輸入盤 販売元:HMV Yahoo!店 HMV Yahoo!店で詳細を確認する |
シュトラウス(リヒャルト) / 『英雄の生涯』 カラヤン&ベルリン・フィル(1974)(HQCD) 販売元:HMV Yahoo!店 HMV Yahoo!店で詳細を確認する |
また、カラヤンのシュトラウスを取り上げてみよう。自分はR.シュトラウスの最高傑作は、英雄の生涯ではないかと思っている(オペラはサロメ以外知らない)。カラヤン・ベルリンフィルは、この曲を自分の知る限り3回録音しているが、代表的な録音は、1974年・1985年のこの2つであろう。この2つのどちらをとるかというのは、議論が分かれるところである。それはなぜか・・・。1974年の演奏が、録音に大きく失敗しているのだ。クレッシェンドすると音が割れまくる。快適な録音で聞きたいならば、1985年かもしれない。しかし、私はそれでも1974年の演奏を最高と考える。アンサンブルの精度が高い。「英雄の敵」の木管アンサンブルは特筆すべきだ。オーボエが神がかっている。また、ラストのホルンはザイフェルト最高の演奏の一つと言えるのではないだろうか。泣かせる演奏だ。
ちなみにクラリネットについては、1985年のほうが良いと思うが、元々それほどクラリネットが活躍する曲ではないから、聞き所は多くない。あと、両方ともEs管クラリネットは最悪に近い。ベルリンのクラリネットの最大の弱点は、Es管だろう。誰が吹いているのか知らないが、がっかりだ。ちなみにブーレーズのダフニスもEs管のせいで思いっきり興ざめだ。
上記の1974年版は、HQCD(高音質CD)だ。私は普通のCDでしか聞いていない。果たして、HQCDになることによって、録音は改善しているであろうか?自分の予想は懐疑的だ。元々の音源の音が割れているのだから、どうしようもないだろう。まあ、それにしてもいずれは入手したいと考えているから、またレビューしよう。