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メシアン四重奏の驚くべき裏側

時の終わりへ メシアンカルテットの物語 (叢書・20世紀の芸術と文学)

レベッカ リシン

アルファベータ


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を読んでみました。この本はメシアンの「世の終わりのための四重奏曲」(この本の中では原語の意味を考慮し「時の終わりへの四重奏曲」と訳されている)の書かれた経緯、初演者のその後の辿った運命、等をまとめた本です。この曲が、第二次大戦中、メシアンが従軍中(フランス軍)にナチスに捕虜とされ、捕虜収容所で偶然あった音楽家3人(ヴァイオリン・チェロ・クラリネット)と自分(ピアノ)のために書かれ、捕虜収容所の中で初演された・・・というのはかなり有名な話(伝説に近い)です。しかし、メシアン以外の3人が誰で、どういう人間で、その後どういう生涯を辿ったかは、これまであまり明らかにされてはいませんでした。この本は、それを生存者のインタビューを通じて明らかにした画期的なものです。この本で初めて明らかになった事実が結構あります。専門書っぽさはなく、文章は平易で読みやすいです。生存者のインタビューは1994年前後になるのですが、実はこの時期がぎりぎりのタイミングで、その当時を語れる人はその後まもなく亡くなっています。まさに貴重な記録と言えるでしょう。

そのメシアン以外の初演メンバーは、

ヴァイオリン:ジャン・ル・ブーレール
チェロ:エチエンヌ・パスキエ
クラリネット:アンリ・アコカ

の3人です。まず、世に伝わる話と違うのは、この4人のうち、パスキエ・アコカ・メシアンは捕虜収容所で出会ったのではなく、捕虜になる前にフランスのベルダンというところの軍楽隊で従軍中にあっていて、第三曲「鳥たちの深淵」は、その頃に最初に書かれたものであることです(学者の説では、メシアンのインタビューから第五曲「間奏曲」が最初とされていた。→他にもメシアンが結構適当なことを言っていたことがいくつかこの本で明らかにされている)。捕虜収容所でブーレールと合流し、ドイツ軍は音楽家をやや優遇して扱ったので、メシアンは作曲を行うことができたそうです。

メシアンとパスキエは、著名な芸術家であったため、この曲の初演後、幸運にもパリに戻されることになります(パスキエはメシアンといたのはラッキーだったと語っている)。アコカとブーレールは収容所に残りますが、アコカは脱出を試みて成功します。彼はユダヤ人であったために苦労しますが生き延び、フランスのオケに戻ることができました。ブーレールは最も長く収容所にいた(7年)ために、ヴァイオリンができなくなりますが、その後、俳優に転身し活躍することになります。

・・・等といった興味深い事実が明らかにされています。

また、この録音はメシアン監修の由緒正しきものであることがわかりました。

次回の出番(第612回横響演奏会)

次回の出番は、ハイドンの1stとなります。ちょっと地味なプログラムですが(アンコールもあるかもしれないので)・・・出来の保証もできませんが・・・聴きに来ていただければ幸いです。ホルストは吹奏楽曲の編曲版で大変珍しいものです。ハイドンは、「のだめカンタービレinヨーロッパ」で、プラハ・プラティニ指揮者コンクールの一次予選課題曲として、千明(玉木宏)が指揮をした曲です。のだめファンはチェックを・・・。

青少年のための音楽会 第612回定期演奏会
【音楽の都を巡る (4) ロンドン】

1.組曲「王宮の花火の音楽」(ハーティ版)ヘンデル
2.交響曲第1番 変ホ長調モーツァルト
3.吹奏楽のための第1組曲 変ホ長調 (管弦楽版)ホルスト
4.交響曲第104番 ニ長調「ロンドン」ハイドン

管弦楽 横浜交響楽団
指揮  甲賀 一宏
日時  平成21年2月8日(日) 開場/午後1時15分 開演/午後2時
会場  青少年センターホール JR・市営地下鉄「桜木町」駅から徒歩10分
入場料 1,000円(全自由席)
前売所 読売プレイガイド・横浜高島屋チケットショップ
主催  横浜交響楽団 共催/横浜市市民活力推進局

メシアンが到達したピアニズム

Messiaen: Catalogue d’Oiseaux

Roger Muraro

Musidisc


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ムラロのメシアンの実演があまりに素晴らしかったので、彼のメシアンのピアノ独奏曲全集(7枚組)を購入してしまいました。
上記はその中の「鳥のカタログ」です。3枚組です。正直「鳥の時代」のメシアンは少し苦手にしていました。鳥の声を、比喩的(田園のように)ではなく、完全に生の音をコピーするというのは、何か無理があるという感じがしていました。しかし、生のムラロの演奏(眼差し)を聴いて、鳥のパッセージの扱い方に説得力が感じられたので(それはかわいくなく、結構ギャラギャラとしていたけど妙に説得力があった)、これなら「鳥のカタログ」もいけるのではないかと思い、購入して聴いてみました。

3枚通しで聴き通すことができました。この音楽には全体の統一感(古典的なテーマのようなもの)がないので非常に聴きにくいのですが、局所的な音楽はメシアンのピアノ曲ならではの美しさに満ちています。ムラロはそれを丁寧に響きを味わいながら弾いています。20世紀的なピアノというものをどうとらえるかということの、メシアンなりの究極的な答えがここにはあるように感じました。

新旧メシアンピアノを比較する

自分が先日の演奏会で生で聴いたきたメシアンは以下です(昨日の全集に含まれている)。

20 Regards Sur l’Enfant Jesus


Musidisc


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ムラロのメシアンのスタイルはこれまでのどの演奏者とも違うと思ったのですが、生ではただただ圧倒されてあまり分析できませんでした。CDが手に入ったので少し分析してみました。比較対象は以下の過去のベロフの名演です。

20 Regards Sur L’enfant-jesus
Beroff

Rouge Et Noir(emi)*


ムラロのメシアンは大変に感情移入が激しい、ロマンチックなものです。例えば、音の空白部分で結構大きな間を作って、ためたりします(これは生で聴くと結構効く)。それに比べるとベロフは、ややドライでかっちりしてます。あまり大げさなことはやりません。

自分が思いついたのは、こういう図式です。

ムラロ→スクリャービン
ベロフ→バルトーク

ムラロを聴いて思い出したのは、アシュケナージのスクリャービンでした。複雑な和音やパッセージを美音で華麗に演奏します。ロマンチックです。グールドによるスクリャービンの曲の構造模型のような演奏とは対照的です。(今までメシアンをスクリャービン的であると思ったことはないけど、ニコ動のコメントにはあった。あとムラロは美音というほどではない。)

ベロフはバルトーク的だと思いました。切れ味するどいカノン等が印象的です。実際、彼はバルトークも得意なレパートリーにしています(それに対して、ムラロのスクリャービンはない)。

というように、この2つの演奏は、メシアンの持つ2つの側面をそれぞれ表しているのでした。両方ともに、甲乙つけがたいものですが、自分は実演で実際に聴いたムラロを今は選んでしまうかな・・・。ちなみに、ロマンチック感は(音は悪いけど)DVD盤があるので、そちらのほうが伝わります。間のときの表情やしぐさとかがわかるから。

ムラロのメシアン購入

Messiaen: Complete Piano Solo


Accord


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メシアン、オリヴィエ
『幼子イエスにそそぐ20の眼差し』 ミュラロ(P)(DVD)

先日生で聞いたムラロをきちんと聞いてみたくなって、全集とDVDを購入してしまいました。生の迫力にはかなり負けますが、なかなか優れた演奏でした。レビューは追って掲載したいと思います。

アバドの強烈な名演

年末バーゲンでCDをいくつか買いましたが、その中で以下の2つが大変印象に残りました。両方とも指揮はアバドです。古い演奏です(20年以上前)。

バルトーク:ピアノ協奏曲第1番、第2番

アバド(クラウディオ) ポリーニ(マウリツィオ)

ユニバーサル ミュージック クラシック


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ポリーニとのバルトークの協奏曲です。超名演と思います。切れ味鋭い演奏です。特に2番の第3楽章は、強烈な掛け合いとシンメトリーを利用した音列の変形等、バルトークのテクニックが満載で、ジェットコースターに乗っているかのような気分を味わうことができます。

プロコフィエフ : カンタータ

オブラスツォワ(エレーナ),ロンドン交響合唱団

ポリドール


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アレクサンドル・ネフスキー(ロンドン響)・スキタイ組曲・キージェ中尉(シカゴ響)の組み合わせです。どの演奏も大変に優れたものと思いますが、あえて選ぶならば、アレクサンドル・ネフスキーです。この曲はあまり好きというわけではないのですが、ロンドン響からもの凄く深い響きを引き出しています。ロシア(近代)音楽のおもしろさを実感することができます。

両方のCDともに1300円程度で購入できます(外盤ならば)。内容から考えるとお得と思います。

昔のアバドはすごかった・・・けど・・・ベルリンでは何であんなになっちゃったんですかね〜・・・

第611回横響演奏会(第九)終了

少し報告が遅れましたが、年末恒例の第九の演奏会が終わりました。雨の中2300人ものお客様が来ていただけたそうです。本当にどうもありがとうございました>横浜市民の皆様。

自分は演奏会直前にロビーで木管五重奏をやりました。曲は「主よ人の望みよ喜びよ」です。
で・・・、あれは3連符が延々とつながっていくのですが、やっと自分の番が回ってきたというところで、1拍3連符が消えます。「あれっ」と思ったのですが、もう遅い。1拍遅く入ってしまったのでした。仕方ないからそのまま8小節くらい吹き続けて、何か不思議な響きになりながらも、周りが無視してくれたので、曲は止まらずにすみました。自分も途中から復帰しました。

こんな失敗は多分生まれて初めてです。ロビーで聞いてくれた方、大変申し訳ありませんでした・・・。

本編のほうは、前プロの1stと第九の1アシでしたが、まあまあ無難にこなせたかな・・・。ちょっとパワーが足りなかったかな。

ムラロのメシアンを生で聞く

トッパンホールのシリーズ<生誕100年記念メシアン−光と闇>

の組チケット(6000円×2が10000円になる)を購入して、その第一回の、

「幼な子イエスにそそぐ20の眼差し」
ロジェ・ムラロ(ピアノ)

を聴いてきました。「すごい」の一言に尽きるのですが、まあ、本当に凄まじい演奏でした。ムラロは名前すら知らなかったのですが、こんなメシアン弾きがいるとは驚きでした。メシアン弾きとして著名なベロフ(軽め)やエマール(技巧派)とはまた違ったタイプ(ちょっと表現が見つからない)ですが、全然ひけをとらないと思いました。客席はほぼ満席でした。

完全に打ちのめされて帰ってきました・・・。

ちなみにアンコールは無しでした。あの凄い演奏の後にできるアンコールはないなと思いました。

さて次回のピアノは(世の終わりのための四重奏ですが)エリック・ル・サージュです。果たしてどこまでこのレベルに近づけるでしょう・・・。

ニコ動での動画があるので、見てみてください。神演奏です。

メシアン:20のまなざし ‐ 6.御言葉によってすべては成されたり

次回の出番(第611回横響演奏会)

次回の出番は、前プロの1stと第九の1アシです。全乗りなんて数年ぶりかも。

また、Safariでgoo地図が使えるようになりました、パチパチ(chromeはダメでした)。(Safariがよくなったのか、gooがよくなったのかはわからない)。なので、場所も付けてみます。

青少年のための音楽会 第611回定期演奏会

【横響・第九演奏会】

1.歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲フンパーディンク
2.交響曲第9番 二短調「合唱付き」ベートーヴェン
   ソプラノ/高橋さやか
    アルト/坂上賀奈子
   テノール/君島 広昭
   バリトン/今尾  滋

合唱:横響合唱団・横響と第九を歌う会合唱
管弦楽:横浜交響楽団
指揮:甲賀 一宏
日時:平成20年12月14日(日) 開場/午後1時 開演/午後2時
会場:神奈川県民ホール(大ホール)
入場料:1,500円(座席券引換券)
    (当日12時より受付にて座席券とお引換えいたします)(全自由席)
前売所:読売プレイガイド・横浜高島屋チケットショップ
主催:横浜交響楽団 共催/横浜市市民活力推進局
後援:財団法人横浜開港150周年協会

第610回横響演奏会終了

遅くなりましたが、演奏会終了の報告。プッチーニのアリアのバスクラリネットとミサ曲のトップでした。バスクラは意外に目立つところがあるのですが、まあまあうまくいってよしよしと思っていたのですが、先日のシェーンベルクでの伊藤さんのバスクラを聴いて、自分とのあまりの違いにショックを受けてしまって、よかったという印象は吹っ飛んでしまいました。ミサ曲はメインで、クラリネットもそこそこ目立つ曲です。これは多少ミスがあったし、音もイマイチだったのですが、1年ぶりにメインのトップを吹き通したというだけで今回は良しとしようかと思っています。

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