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高音質CD初体験:カラヤン・ベルク他
新ウィーン楽派管弦楽曲集
アーティスト:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン(ヘルベルト・フォン) |
高音質CDにはずっと興味があって、いつか買おうと思っていたが、やっと一組入手することができたのでレビューしてみよう。高音質CDとは何かというと、従来のCDと全く互換性を持ちながら、ブルーレイディスク等で得られたノウハウを投入することによって、音質を向上したというもので、CD出版3陣営(ユニバーサル・EMI・ソニー)からそれぞれ規格が出ている。
選んだのは、カラヤンによる新ウィーン楽派管弦楽曲集である。これはLP時代の名盤とされている。高音質CDはなかなか割引で売っていないのだが、これはHMVで23%オフの対象になっていたので買ってみた。SHM-CDという規格で、CD素材に液晶パネル用途のポリカーボネート樹脂を使用しているため透明性が向上し、正確なビットを形成できるのだそうだ。自分はこれのCD版については、ベルクの2曲だけを、ベルク全集の一部として持っているので、それと比較してみることにしよう。
まず、元のCD版についてだが、カラヤン主義者の私を持ってしても、うるさいと思わせる演奏だった。ベルクの演奏としては、必ずしも優れたものではない。力で押しまくっている。録音は情報量は多いもののややノイジーな感じであまり優秀な録音とは思っていなかった。
さて、SHM-CDを聴いてみた。・・・。うーん。やはりうるさいというのは変わらない。ただピアノの分解能がちょっとあがってるかな〜という気がするが、気のせいっぽいような気もする・・・。値段の差ほどのありがたみはないようだ。
ちなみに、一緒に入っていた浄夜を聴いてみたら、これはすごい演奏だった。録音も多少うるさいが優秀だ。高音質CD関係なく名演の一つに数えることができるだろう。
第614回横響定演終了
第614回横響定期演奏会「フォーレの魅力」は平日にも関わらず、多くの皆様に聴きに来ていただきまして大変ありがとうございました。「フォーレのレクイエム」ファンというのは結構いるのだなということを痛感しました。自分はペレアスとレクイエムの1stでしたが、ちょっと音が固めだったかなという気もしますが、まあまあだったと思います。そのうち(ソロ部分)録音をupしましょう・・・。次は、(また)ビゼーと山田耕筰という不思議なプログラムになります。よろしくお願いいたします。
黛敏郎:涅槃交響曲
黛敏郎:涅槃交響曲
アーティスト:岩城宏之,東京混声合唱団 |
涅槃交響曲は黛の代表作ということは知っていたが、聴くのは初めてだ。この曲は鐘の音をオーケストラでシミュレートするという発想で作られているのだそうだ(もっと宗教的かと思ったらそうでもない)。歌(というかお経というか)はちょっとどうかなと思うが、このモダンな音響は嫌いじゃない。演奏は大変優秀だと思う。録音も極めてよい。作曲者の死(1997年)の直前(1995年)に、作曲者の監修によるこのような優れた演奏が残ったのは幸運と言えよう。歴史に残る名作かは多少疑問だが、私にとっては邦人作曲家だったら、武満よりは、黛とか三善晃などのほうがずっとしっくりくるのだ。
黛 敏郎 / 「天地創造」より
【ニコニコ動画】黛 敏郎 / 「天地創造」より 【吹奏楽】
ちょっと前だが所属するオーケストラの選曲会議に出た、そのときに邦人作品の話になって、「そういえば、黛敏郎の天地創造も名曲だよね」と言った。参加していた常任指揮者は作曲家でもあるので、(同業者である黛に)少し理解を示してくれたようだが、他に誰も響く人はいなかった。自分は吹奏楽で知ったが(自分の少年時代は地元のコンクールでも取り上げられていた)、今は世代が違うのだろう。オーケストラの楽譜が出ているのかもわからなかったので、それ以上推薦することなく終わった。
その後忘れていたが、涅槃のCDが安かったので入手した(これはまた別にレビューしよう)。それで黛を思い出し、天地創造ってCDあるのかなと思ったら、現在販売されているものはないらしい。残念なことだ。しかし、ググってみたら、ニコ動に音源があった。それが上である。吹奏楽編曲版だ。演奏はあっさりとしたもので感動は薄いが、やはりこの曲は名曲だ。メインテーマは泣かせる。味わって聴いて欲しい。黛は(テレビ番組の司会者くらいにしか思われていない気がするが)偉大な作曲家なのだ。
フォーレ賛:レクイエム
Faure: Requiem; Messe des Peheurs de Villerville
販売元:Harmonia Mundi |
自分は、フォーレを嫌いじゃない。ドビュッシーやラベルよりも好きかもしれない。ちなみにショーソンも嫌いじゃない。自分はちょっと頭が古いのだろうか。しかし、フランスの作曲家でその次となるとメシアン・クセナキスまで飛んでしまう。レクイエムもペレアスも素晴らしいと思う。ピアノ曲はピンと来ないが。次の水曜日に神奈川県音楽堂で演奏するので、フォーレ好きは来たれ・・・(演奏の質は保証しない)
さて、このCDだが、レクイエムの1893年版だ。原典版と書かれて売られていることもあるようだが、ウィキペディアによると第2稿のようだ。きれいで、胸に染み入るようなしみじみとした演奏だ。録音も大変よい。(自分にとって)残念なのは、クラリネットがないことだ。これは仕方ない。まあ、あっても一曲しかないが。とりあえず、自分はこれで満足だ。また、CDジャケットが非常に洒落ている。
ヴィラ・ロボスを聴く
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ 販売元:セブンアンドワイ セブンアンドワイで詳細を確認する |
EMIクラシックスBEST100で、3枚CDを買うと1枚もらえるという企画にのってみて入手した。普段あまり買いそうにないものを選ぼうということで、ヴィラ=ロボスにしてみた。今まで室内楽は聴いたことがあっておもしろいと思っていた。2番はオーケストレーションがすっきりせず、基本ゴチャゴチャしている感じでイマイチだ。それは西洋音楽に慣れた耳だから仕方ないのかもしれない。トッカータはそのエネルギー感が少しおもしろい。6番はFl・Fgの二重奏だがおもしろい。9番は弦楽合奏だが結構かっこよい曲で、まさにブラジル風バッハという感じ。全体に録音はあまりよくない。
カラヤン「英雄の生涯」聞き比べ
シュトラウス(リヒャルト) / 『英雄の生涯』、『死と変容』 カラヤン&ベルリン・フィル 輸入盤 販売元:HMV Yahoo!店 HMV Yahoo!店で詳細を確認する |
シュトラウス(リヒャルト) / 『英雄の生涯』 カラヤン&ベルリン・フィル(1974)(HQCD) 販売元:HMV Yahoo!店 HMV Yahoo!店で詳細を確認する |
また、カラヤンのシュトラウスを取り上げてみよう。自分はR.シュトラウスの最高傑作は、英雄の生涯ではないかと思っている(オペラはサロメ以外知らない)。カラヤン・ベルリンフィルは、この曲を自分の知る限り3回録音しているが、代表的な録音は、1974年・1985年のこの2つであろう。この2つのどちらをとるかというのは、議論が分かれるところである。それはなぜか・・・。1974年の演奏が、録音に大きく失敗しているのだ。クレッシェンドすると音が割れまくる。快適な録音で聞きたいならば、1985年かもしれない。しかし、私はそれでも1974年の演奏を最高と考える。アンサンブルの精度が高い。「英雄の敵」の木管アンサンブルは特筆すべきだ。オーボエが神がかっている。また、ラストのホルンはザイフェルト最高の演奏の一つと言えるのではないだろうか。泣かせる演奏だ。
ちなみにクラリネットについては、1985年のほうが良いと思うが、元々それほどクラリネットが活躍する曲ではないから、聞き所は多くない。あと、両方ともEs管クラリネットは最悪に近い。ベルリンのクラリネットの最大の弱点は、Es管だろう。誰が吹いているのか知らないが、がっかりだ。ちなみにブーレーズのダフニスもEs管のせいで思いっきり興ざめだ。
上記の1974年版は、HQCD(高音質CD)だ。私は普通のCDでしか聞いていない。果たして、HQCDになることによって、録音は改善しているであろうか?自分の予想は懐疑的だ。元々の音源の音が割れているのだから、どうしようもないだろう。まあ、それにしてもいずれは入手したいと考えているから、またレビューしよう。
ガチ定番:カラヤンのシュトラウス
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラ」/ティル/ドン・ファン
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック |
ちょっとネタ切れなので、昔のCDのレビューを・・・。
このリンクは最近発売のSHM-CD(高音質CD)だが、自分は通常のCD版(外盤)しか持っていない。SHM-CDは興味があるところだが、まだ買えていない。入手できたら、レビューしようと思う。
さて、演奏についてだが、このツァラトゥストラは、録音・演奏ともに、この曲の最高と言われる、まさに「ガチな」定番だ。序奏部のサウンドは、オルガンも含めてものすごい音がする。しかし、私がこのCDで一番好きな演奏は、サロメの七つのヴェールの踊りだ。カラヤンのサロメというと、ウィーンフィルとの名盤(全曲)があるのだが、七つのヴェールの踊りだけに関して見れば、私はこのベルリンフィル版をとる。サロメといえば、オーボエ・・・となるが・・・それも勿論すばらしいのだが、私はフルートのすばらしさに注目したい。このソロはただ者ではない。ちょっとツェラーっぽくないような気がする。ゴールウェイによる数少ない演奏の一つではないかと推測しているのだが、どうだろう。フルートの専門家に検証してもらいたいところだ。出だしの迫力・ラストの盛り上がりもすごい。カラヤンのシュトラウスは、彼の偉大さをまざまざと見せつけてくれる素晴らしいものだ。
アバド礼賛(その2)
次に歌を含まないものを2つ挙げよう。
/Piano Concerto.1 2: Pollini(P) Abbado / Cso +2 Portraits: Mintz(Vn) 販売元:HMVジャパン HMVジャパンで詳細を確認する |
ポリーニ・アバドともに脂ののりきったころの名演。リズムの切れ味・強烈な掛け合い等、バルトークの魅力が満載だ。特に2番の最終楽章はジェットコースターに乗っているようなスリリングなものだ。これらの曲の決定版と言えるだろう。
ヤナーチェク:シンフォニエッタ、他 販売元:セブンアンドワイ セブンアンドワイで詳細を確認する |
ヤナーチェク・(特に)ヒンデミットも素晴らしいが、このCDの最大の名演は、プロコフィエフの交響曲第三番だ。あまりメジャーとは言えない曲だが、バーバリスティックな迫力がたまらない。
最後に、(おそらく彼が最も得意とする)オペラを一つ挙げよう。
ベルク/Wozzeck: Abbado / Vpo Grundheber Behrens Raffeiner Langridge 販売元:HMVジャパン HMVジャパンで詳細を確認する |
ルルが未完であったため、ベルクの最高傑作をヴォツェックだという人は多いだろう。この演奏は現代におけるヴォツェックのスタンダードと言える名演だ。この演奏はライブ録音だが、映像が残っていないのが本当に悔やまれる。ヴォツェックは、何というか非常に凝縮された無駄のない精緻な音楽だ。それをこの演奏は非常にクリアに表現している。HMVのユーザーレビューも概ね評価されているようなので参考にしてほしい。
(日本版で2300円で手に入るとは良い世の中になったものだ・・・あ、でも歌詞対訳がないって)
さて、以上だが、容易にわかるように、私の音楽の趣味に偏ったものだ。それは仕方ない。彼の本領はおそらくロッシーニ等のイタリアオペラで発揮されると思う。また不幸にして、私は彼とベルリンフィルが組んだ名演を知らない。それらは誰か他の人のレビューを待つことにしよう。きっとアバドが歴史に残る素晴らしい指揮者であることをネットの住民が証明してくれるだろう。
アバド礼賛(その1)
古いオーケストラに所属していると、つまらない聞きたくない年寄りの愚痴を聞くこともあるものだ。先日こういうのを聞いた。
「最近の指揮者はつまらねえ。フルトヴェングラーの時代は良かった。アバドなんてどこがいいか全然わからん。」
こういう意見は、割とよく見かけるものだ。しかし、アバドがフルトヴェングラーに比肩できるような指揮者であるかは不明だが、自分は歴史に残る偉大な指揮者だと思っているし、少なくともカラヤン程度には比較しうるだろう。フルトヴェングラーやトスカニーニは偉大だとは思うが、きちんとした録音で聞くことがほとんどできないので、その力量はノイズだらけの音源から推定するしかない。それに比べて、アバドは優れた録音の名演を、私が知る狭い範囲でも、それなりに残しているのだ。それを挙げてみよう。
まずは、彼が得意とする声を含む音楽を2つ挙げる。
プロコフィエフ/Alexander Nevsky Etc: Abbado / Lso 販売元:HMVジャパン HMVジャパンで詳細を確認する |
アレクサンドル・ネフスキーはソ連国威発揚の曲なので、軽く見られがちだが、この演奏は圧倒的だ。冒頭からこれまでどこでも聞いたことの無いような鋭いサウンドが炸裂する。ラストの盛り上がりは感動的だ。痺れる。思想信条を超えた名演だ。ちなみに、一緒に入っている「スキタイ組曲」も定評のある名演だ。
ワルシャワの生き残り、ほか アバド&ウィーン・フィル 販売元:HMVジャパン HMVジャパンで詳細を確認する |
ワルシャワの生き残りが超名演だ。戦慄を覚える「怖い」演奏だ。7分程度の短い曲だが、そこに刻まれた深い内容には感嘆せざるを得ない。戦争の悲劇を克明に伝えている。終結部で合唱が入る部分の圧倒的な迫力。斧が振り落とされるかのような強烈なラスト。
ちょっと長くなったので続きは後日・・・