ホーム » clarinet (ページ 6)
「clarinet」カテゴリーアーカイブ
プーランク「2つのクラリネットのためのソナタ」より
先日の演奏からの抜粋である。2楽章の最初の主題の提示である。外に出せるのはこれくらいしかない。この後、オクターブ高い動きになるが、ピッチがぶら下がっている。本当は、1楽章と3楽章が特徴があっておもしろいのだが、難しいし、2ndパートが目立つので出せない(無許可だから)。
この曲は、B管とA管のDuoという非常に珍しいもので、その特徴の違いを上手く生かした貴重なレパートリーである。
リコーで初の本番
今日は本番なのですが、あいにくの雨で・・・客足が鈍りそう。
リコーで初というか、クラリネット始めて以来、ヴァンドレン以外では本番に乗ったことがないのですが、今回は初めてリコーを本番で試してみます。
Evolutionの3番です。これしか吹けませんでした。最近、V12 3+1/2にどうも合わせられなくなってきて、苦渋の選択です。印象としては、
・まあ使えないことはない
・音はちょっと密度が薄くなるが、広がる感じで、好みは分かれるだろうが、まあ許容範囲
・何となく振動する面積が広いようで、発音がすっきりいかない。ちょっと遅れて音が出る感じなので、始動をやや早くする必要がある
・一箱内で使える率はわりと高い
という感じですかね。音はまあこういうのもありかなと最近思えるようになってきました。
果たして今日うまくいくのでしょうか・・・
音楽演奏における老化とは?
先日の急ぐ・・・というエントリに関連して思い出したことだが・・・
自分はもう40を過ぎてしまったが、若いときには40になるなんて想像もできなかった。年を取ったらどうなるんだろうと心配していた。きっと楽器が吹けなくなるんじゃないか・・・。私もそう思っていて、多くの人達もそう多分考えるのではないか・・・ということは、年を取ると、指が回らなくなる or 音がきれいに出せなくなる・・・という感じではないだろうか。特にテクニックが衰えるのではと心配になる。
しかし、自分がこれまで様々な団体に所属して、周りを観察して&同僚と話して思ったのは、老化というのは、意外とテクニックの衰えからは来ない。老化はどこから最初に来るかというと、テンポやリズムの乱れなのである。特に急ぎがちになることが多い。協調性を保って、演奏することができなくなる。音もテクニックも比較的ちゃんとしてても、崩れていくのである。当人には自覚はあまりない。これは結構怖いことだ。推測だが、老化というのは肉体的なものよりも、脳が最初にやられるのではないかと思う。
先日書いたように、自分は急ぐことに自分自身が気づかなくなってきている。これは老化現象の現れであり、やばい。でも、プロってあまりそうはならないみたいだから、何かコツがあるのかしら。
先に行っちゃダメ
最近ちょっとネタ切れなので、少し愚痴を・・・
楽器演奏の癖というか欠点は、その人固有のもので、練習・経験を重ねてもなかなか克服できないものがある。人を見ていてそう思うときもあるけど、自分の場合も、中学生のころから、今までずっと、ほとんど指摘される欠点が変わらない。情けないほど進歩がない。それは以下の3つである。
1.急ぐ
2.音の最後の処理が悪い
3.音が悪い。はっきりしない
本エントリのテーマである1.を後回しにして・・・。まず2.から。自分は、自分で言うのもなんだけど、音の頭の処理はアマチュアクラリネット吹きとしてはマシなほうだと思う。クラリネットは振動体(リード)がでかいので、音の出だしは結構嫌なものだが、自分は音は出だしがすべてだと思っているので、結構注意を払っていたし、大体習慣づいている。一方、音の最後の処理は悪く、かなり意識しないと雑になる。これが習慣にならないのは残念なことで、上手い人との差はここにあると思う。
次に3.これは、レッスンで必ずと言っていいほど言われることである。結構な難しい曲をレッスンに持って行っても、テクニックや歌い方にクレームが付くことはほとんどなく、「音がもうちょっとよくなるといいんだけどね〜」と言われてしまう。そんな根本的なこと言われても・・・という気にもなるが、この音は高校時代に大体確立したもので、私の出身高校に伝統的な(と言っても今はないが)サウンドだった。教会のように強烈に響く(旧校舎の)教室で練習したからそうなったと思われる。フレンチな通る音を要求する先生からは、はっきりしないと言われてしまう。
最後に1.だ。自分は吹奏楽を長いことやっていたが、中学1年の後半からはコンサートマスター的な役割をやることが多く、常にリーダーシップをとることが要求されていた。そんな自分のモットーは、人よりも早くでる(音を出す)ことだった。遅れたり、伴奏をおっかけたりするのを潔しとせず、常に先頭に立って、吹こうと思っていた。ということがあって、自分は人よりも早く行こうとする傾向がある。これは今から考えると、なんでだろう・・・という気もするが、すっかり癖になって定着してしまって、先頭を切って走ってしまう。しかも、年を取ってそれが悪化しているようで、もはや自分で急いでいることが認識できなくて、録音を聞いて初めて知るという・・・もう末期的な症状になっている。今ロビーコンサートのためのアンサンブルを練習しているが、録音を聞いたらかなり顰蹙ものだった・・・。8分音符のメロディで走るから、伴奏をやっている16分音符はたまらない。何か直す方法ないのかしら・・・。もっと伴奏に乗っかる感じでやればよいのかなぁ・・・。
メイエの名演:ショーソン「アンダンテとアレグロ」
/Paul Meyer French Clarinet Art Le Sage(P) 販売元:HMVジャパン HMVジャパンで詳細を確認する |
ポール・メイエなんて、ルックス重視の日本では人気があるが、実力はたいしたことない・・・とか言う人もいるかもしれないが、自分は優れた奏者だと思っている。初来日を聴きに行ったときは、かなりがっかりだった。何でこんなにパワーに頼るのだろうと思った。彼は結構大胆な思い切った演奏をする。何というか、汚すことを恐れない。これは日本人的なきれいにまとめようとする文化には馴染まない。このようにアクの強さを感じさせることもあるが、彼の良いところはきっちり曲によって吹き分けられるところだと思う。先日の来日時の武満もすばらしかったし、衛星で見たベルクやプーランクもよかった。モーツァルトの録音も意外に悪くない。そんなメイエの名演を選ぶのは難しいが、フランス曲集のショーソンを挙げる。この曲はあまり演奏される機会は多くないが、かっこよい曲だ。それを素晴らしく華麗に演奏している。やはり彼にはフランス物がよく似合う。
ケルの名演:ブラームス「クラリネット五重奏曲」
ブラームス/Clarinet Quintet Horn Trio: Kell A.brain R.serkin A.busch 販売元:HMVジャパン HMVジャパンで詳細を確認する |
レジナルド・ケルは、イギリス流クラリネットの父と言っても良い存在だろう(その前となると録音が激減するので知らないだけとも言えるが)。イギリス流というとブライマー風の甘い感じを連想するかもしれないが、ケルはビブラートは使うものの、割と質実剛健な感じだ。ペイエの若い頃にちょっと近い(ペイエは年をとって良くも悪くも甘くなった)。ケルは比較的良い条件の録音が多く残されている。その中で代表盤として、このブッシュ弦楽四重奏団とのブラームスを挙げる。
この演奏は1937年の録音だ。録音状態は時代を考えればまあまあか。演奏の価値を毀損してはいないと思う。演奏を一言で言うならば「熱い」演奏だろう。古い名盤として知られている。自在にテンポが揺れ動き、アンサンブルが崩壊しそうになるぎりぎりの線で保つという際どい演奏だ。バックのブッシュ四重奏団はすばらしい。ロマン的な古い演奏とも言えるかもしれない。フルトヴェングラーとか好きな人は好むかもしれない。ちなみに、デッカのケル全集に含まれるこの曲は、この演奏ではないので注意が必要だ。このブッシュとの演奏のほうが優れていると思う。幸運なことにHMVではまだ手に入るようだ。
ブルンナーの名演:イサン「クラリネット協奏曲」
Isang Yun: Selected Works for Clarinet
アーティスト:Eduard Brunner (Clarinet) |
ブルンナーなんてどこがいいのかわからない・・・と思っている方も多いかもしれないが、彼の本領は現代曲で表れると言えるだろう。韓国の作曲家ユン・イサンのクラリネット協奏曲をその代表作としてあげる。しかし、残念ながらこのCDは廃盤になっていて、中古でしか手に入らない。ユン・イサンの交響曲は、あまりにもナショナリスティックでちょっと日本人な自分らには無理・・・と思ってしまうが、協奏曲については、基本、自我vs.社会みたいなわかりやすい対立軸になっているので、我々にも共感できるものだ(チェロ協奏曲も名曲)。クラリネット協奏曲は難曲だが名曲だと思う。邦人の優れたクラリネット協奏曲が(多分)ないから(アジア人として)この曲は貴重だ。ハイトーンとそれへ向かう分散和音の連続が主要なテーマとなるが、非常に力のある強烈な音楽だ。第三楽章冒頭の重音奏法は非常に感動的だ(楽譜見たけどやり方がわからない)。2楽章のバスクラリネットがイマイチだとか、ツッコミどころはないでもないが、あまり取り上げらない良い曲だと思うので、機会があれば聴いてみて欲しいものだ(日本人誰かトライしないかな・・・)。
ライスターの名演:ブラームス「クラリネット三重奏曲」
ブラームス:クラリネット三重奏曲
アーティスト:ライスター(カール) |
有名なクラリネット奏者による演奏のうち、自分の非常に印象に残ったものを1つずつあげていこうかと思う。自分の入手した&聴いた狭い範囲なので、取りこぼしは多いにあると思う。ご了承願いたい。
まず第一回目は20世紀を代表する奏者といってもよいであろう、カール・ライスターを取り上げる。ライスターは年齢を重ねるにつれて進化した偉大なプレーヤーだと思うけれども、意外に進化後のソロの名演がないような気がする(あえてあげるとすればレーガーかな・・・それに比べて、オーケストラのソロは進化後のほうが名演が多い気がする)。音の美しさは増していると思うのだが、音楽的内容に若干の不満を覚えるのだ。そんな中で彼を代表する演奏として、あえて若いころ(確か20台)のブラームスの三重奏をあげる。ブラームスというと五重奏のほうがメジャーだけれども、この演奏は名演だと思う。ピアノはかなり良い雰囲気だ。ブラームスでは、ソナタも三重奏もピアノの役割が非常に重要だ。またチェロも良い。ラストはかなり盛り上がる。録音も非常に良い。三重奏に馴染みのない人には是非聴いていただきたい名演だ。
pに頼るようになったらオワリだ
クラリネットという楽器は、管楽器の中で最もピアノ(弱音)を容易に吹くことのできる楽器であろう。木管アンサンブルやオーケストラで一人得意になってdimしたりすると、オーボエやファゴットの顰蹙を買うことがある。
しかし、私はクラリネット奏者の真の実力は、弱音ではなく、むしろ強奏する場面で差がでると考える。弱音だけを美しく聴かせることは比較的容易だが、強音と弱音をきちんと両立させ音楽を成立させるのは大変な技術だ。その点について、ピークを過ぎたベテラン奏者に見られるのは、弱音に頼る演奏である。パワーの無さをピアノのテクニックで補うのだ。それはうまいとは言える。聴衆も感動する(何でそんなに感動するのだろうとも思う)。ストルツマンはそう感じられたし、日本の奏者にもそう感じたことがある。それは奏者にとっては一種の妥協ではないかと思う。
さて、そこで我々のようなしがないアマチュア奏者にとって参考になる点とは何だろうか。それは、アマチュアクラリネット奏者の戦略としては、強音を追求するよりは、弱音を追求するほうが有利であるという事実だ。ときどき、大きな音を吹くことが快感なのかしれないが、やたらとでかく吹くような人を見かける。それは否定しないが、損な戦略だと思う。アマチュアにとっては、ベテランのプロと同じように、強音を捨ててしまって、弱音に集中したほうが、聴衆を攻略するのに近道ができるのだ。オーケストラにいると、音が大きいに超したことはないが、苦労に比べて得することは少ない。勿論、アマチュアの中にも、強音と弱音を両立させる優秀なプレーヤーがいるのは事実だ。彼らは偉大だが、真似するのは難しい。二兎を追う者・・・になってしまうのだ。
プロフェッショナルな教育を受けると基本でかい音を要求されることが多いと思う。レッスンではまずしっかりした音を作ることを要求されるものだ(ホールでちゃんと聞こえないと意味ないとか言われる)。しかし、自分はアマチュアは邪道であろうとも弱音戦略をとるほうが有利であって、プロとしては終わってる道を選択するほうが得だと思うのだ。
第614回定演:フォーレ「ペレアスとメリザンド」シシリエンヌ
シシリエンヌはフルートの曲だ。しかし、終結部に重要なソロがクラリネットに割り当てられている。
分散和音で上がるクラリネットの典型的なソロだ。こういうのはきちんとやらなければならない。スタートがmfだから結構思い切って入る必要がある。上昇音型でのdimはちょっと難しいが、自分はあまり意識せず(意識すると貧弱になりそうだったからだ)、登り切ったところでちょっと減衰するくらいにして、dimの位置を後ろに下げるという方針をとることにした。さて結果はどうだったか・・・失敗・・・。上昇しているときにバックとずれた(後ろにも責任はある)。自分は基本的にサクサクと行きたいので、ちょっと待つ感じになってしまった。そして最高音に着いたところで、着地点を見失った。で、こんな具合に引っかかってしまったのだ。残念。あとちょっと小さくしすぎた。限界までいけるかなと思ったけどやりすぎた(何か懺悔の場と化しているな・・・)。