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バブル崩壊を振り返る

また本業とは違う話題です・・・

海の向こうではえらいことになってますね。自分は貴重な時代の変わり目にいるのかもしれません。それが、悪い結果(恐慌)になる可能性もあるわけですが。

最近、日本のバブル崩壊に関する本をいくつか読んでいます。バブル崩壊の経緯は比較的最近(以下の2冊は2007年と2003年)総括された本が出ています。とりあえず以下の2つを読んでみました。

特捜検察vs.金融権力

村山 治

朝日新聞社出版局


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これは検察・大蔵省・法務省等がバブル崩壊にあたってどういうように動いたかの裏側がかかれていて結構おもしろいです。いわゆる国策捜査に関する記述もあります。

検証 経済暗雲-なぜ先送りするのか

西野 智彦

岩波書店


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これはバブル崩壊の検証三部作(他は、経済失政・経済迷走)の最後の作品で、バブル崩壊の直前のなかなか処理が進まなかった経緯が書いてあります。あとの2冊もこれからよもうと思います。池田信夫ブログでバブル崩壊の主犯と名指しされた寺村信行も主役級で描かれています。

今アメリカで同じようなことが起こっている中でバブル崩壊を振り返ってみるというのも結構おもしろいと思います。

資本を世界に対して開放すべきか?

資本開国論—新たなグローバル化時代の経済戦略

野口 悠紀雄

ダイヤモンド社


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どんどんブログのテーマとはずれていってますが・・・最近感心を持っている経済問題に関する本です。
近年の財政・金融政策は、古い体質の製造業を生き延びさせることにつながり、競争力のある産業への転換をはかることができなかった。製造業はコモディティ化(誰でも作れるもの)を避けることはできず、中国などの賃金の低い国に移動していくことは避けられない。日本はイギリスやアイルランドを見習って、資本を海外に対して開放し、金融や情報産業などの新しい産業への転換をはかっていくべきだと述べる。外資の導入は、経営者の地位を危うくする。しかし、経営者を保護するのではなく、経営者に競争を取り入れ、従業員の幸福を考えるべきだ、とする。

現在の政府の方向は、これに逆行するものだ。バラマキを行って、競争力のない産業を温存させようとしている(先日の朝日新聞に麻生氏のブレインにリチャード・クー氏がいるとあった。彼はバラマキ路線だそうだ。池田氏の記事)。経済・金融対策に関しては、本当に様々な意見がある。例えば、最近の大前研一氏の記事は、背景は野口氏の主張に近いものの、しかし日本の物作りの力に期待しているものである。これからの日本の方向性を決めるために、議論を戦わせることは、非常に重要である。しかし、マスコミは必ずしもそうなっていないように見える。民主党も党内で主張がバラバラで、議論の方向性がうまくいっているようには見えない。特に党首の小沢氏の主張に党内の一部から反発があるが、選挙を見据えて十分な議論を戦わせずに今の体制で進もうとしている。バラマキ経済政策を発表した自民党も選挙のことしか頭にないのであろう。現状の世の中は、日本の将来のために良い状況にあるとはいえないように思える。

と・・・専門ではないところで、あまり新しくもない話をしてしまいましたが、この本についてですが、主張は上記のとおりですが、その裏付けとしていくつかの経済理論を利用しています。これが、ちょっとレベルの低い私にはやや難しく、完全に理解したとは言えないです。しかし、本当はその辺の論理が大切なところなのだと思います。日本の将来を考える上で有益な本でありお勧めできます。

勝間和代という存在

効率が10倍アップする新・知的生産術—自分をグーグル化する方法

勝間 和代

ダイヤモンド社


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最近、売れっ子になって丸の内丸善で勝間和代コーナーができるほどの人気を誇る経済評論家の勝間和代さんの本です。山本モナがクビになったフジのサキヨミにもコメンテーターとして月二回くらいでています。実は、自分は、「こうしたらあなたも成功できる」という類の本があまり好きではないのです。自分が、本に求めるのは、「結果・成果・知見」です。結果がすべてだと思うのです、その過程はいろいろあってどうでもいい。過程は勝手にやらせてほしい(という傲慢な態度)、と思ってます。さて、この本に関係する話ですが、この本自体よりも勝間和代さんという存在自体がおもしろい。フォトリーディングという超速読法によって月に100冊本を読んで、レース用の自転車に乗って、ヘルメットをかぶってコンパクトナビを頼りに都内を走り回って仕事をして、入力を最速にするために最近ほとんど使う人のいなかった親指シフトキーボードを駆使し、21歳で子供を初めて生んで3人の子持ちで、×2のシングルマザー・・・。これはおもしろいというか、ちょっと「(良い意味で)ヘン」です。最近のブログにもコンピュータオタク的なところがちょっと見えてかわいいです。本の内容はともかく、気になる存在です。

戦後日本経済史

戦後日本経済史 (新潮選書)

野口 悠紀雄

新潮社


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テーマはずれついでに、ちょっと前に読んだ本のレビュー。戦後の経済成長は戦時中に作られた体制(特に官僚)が維持されたために実現したもので、戦時体制の継続といえるという考え方です。例えば、間接金融は、戦時体制の資金調達の戦時中に始まったものでそれまでは直接金融が主であった、官僚は内務省が解体された以外はほとんど戦時中の体制が維持された、等というのは全然知りませんでした。高度成長期はこの戦時体制がうまく機能したのであって、戦後白紙からスタートしたわけではない。今、その戦時体制が制度として現代にあわなくなってきており、見直しが必要である、といった話です。知らなかった事実がかなり載っていて、参考になり、おもしろい考え方であると思いました。お勧めの一冊です。

さらば財務省

さらば財務省!—官僚すべてを敵にした男の告白

高橋 洋一

講談社


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またこのブログのテーマからはずれますが、夏休み中に読んだ本です。小泉政権の一連の構造改革の実務担当者として、官僚を敵に回して、こんなにがんばったんだぞ・・・という本です。保守的な官僚と対決する読み物としてはおもしろいのですが、実施する政策(例えば小さい政府)について、それが正しいということを、あまりきちんと書いてくれていない気がします。論理的に考えるとこうなるのだ、とは書いてあるのですが、あまり突っ込んでいないので(突っ込んで書いているとそれだけで本になってしまうかもしれませんが)納得感がイマイチないです。小泉・竹中路線のバイアスがかかってるんじゃないか、と感じます。

ウェブは資本主義を超える

ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成

池田 信夫

日経BP社


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またまた池田本です。池田ブログで書かれたものをテーマ別に編集しなおして、一冊の本にしたもので、最近池田ブログを見始めた人には池田氏の考え方全体を知る上で便利なものかと思います。でも、ブログよりはちょっと毒が薄められている気もします。最後に書評があって、参考になりました。実はネット上には、「読んではいけない」という書評があって、これがなかなか多少毒があっておもしろいですが、本には掲載されていません。

電波利権

電波利権 (新潮新書)

池田 信夫

新潮社


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このブログとちょっとテーマが異なるような気もしますが、最近、池田信夫ブログにはまっています。放送・通信業界に対する過激な(率直な)物言いで話題を呼んでいます。これといった目玉のないgooブログの中では貴重な存在です(ちなみに全然関係ありませんが、gooブログのもう1つの目玉としてカーリング本橋選手のブログがあります。是非応援してあげてください。)。

ところでこの本についてですが、池田信夫ブログを見ている人にとっては結構おなじみの内容も含まれますが、電波が非効率に使われ、既得権者が手放さないこと、田中角栄のころに今のメディアの系列化ができたこと、地デジが失敗プロジェクトであるということ、電波開放へどうしていけばよいか、等が書かれていて大変興味深いです。NHKの裏話的な話もあります。通信業界にいる自分にとっては全然他人事ではない話なので、ちゃんと考えていかなければならないのですが・・・

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)
梅田 望夫

筑摩書房


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これも結構売れてると思うので、ここでとりあげるのも今さらという感じもしますが・・・。出て割とすぐに読んでみました(でもWeb進化論は何となく内容が予想できる気がしたから読んでない)。ロールモデルという考え方に共感を持ちました。明確な一人を見本とするのではなく、ばらばらな「あの人のこういうところ」みないなものを総合して、目標を立てていくような考え方です。自分は楽器をやっているのですが、自分の楽器の目標の立て方がまさにこのロールモデルでした。一人の奏者を目標にすることがどうもできなくて迷っていたのですが、「あの奏者のこういうところ」というのを総合していって自分オリジナルのスタイルを確立する・・・、というアプローチをしたら迷いから抜け出すことができました。この本からすると大企業に属していて、今くらいの年齢の私というのはかなりピンチな状況なのではありますが、そこはくじけずにがんばっていきたいと思います。

コンピュータの構成と設計

コンピュータの構成と設計~ハードウエアとソフトウエアのインタフェース 第3版 (上)

デイビッド・A. パターソン,ジョン・L. ヘネシー

日経BP社


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コンピュータの名著・古典100冊
にもあげられています。MIPSプロセッサを例として、コンピュータの演算・制御などがどのように構成されているかを丁寧に説明してある模範的な教科書です。著者のMIPSアーキテクチャに対する自信と思い入れが伝わってきます。歴史的な展望も興味深いです。名著だと思います。自分は、これで初めてアセンブラを習いましたが、Intelのアーキテクチャでやるより、教科書的には向いているように思います。

RDBMS解剖学

RDBMS解剖学 よくわかるリレーショナルデータベースの仕組み (DB Magazine SELECTION)

鈴木 幸市,藤塚 勤也

翔泳社


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Database Implementationの日本版・・・というところまでは行きませんが、あまり数のないデータベースの内部に少し踏み込んで書かれた本。こういう本は少ないので貴重です。データベースの内部がわかるようになることは、データベースの挙動についての見識を広めるので、開発・運用に役に立つと思います。

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