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職業としての政治・職業としての学問

職業としての政治 職業としての学問 (日経BPクラシックス)

マックス・ウェーバー

日経BP社


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ヴェルサイユ条約の本を読み、ウェーバーに興味を持ったので読んでみた。敗戦の直後の講演である。「職業としての政治」は、政治の本質が暴力であること、政治家の歴史・類型、必要な資質、倫理問題が論じられる。信条倫理(信念の正しさを重視する。過去には心情倫理と訳されていた)・責任倫理(結果に対する責任)という概念が提示され、責任倫理に従うことの重要性が説かれる。

「職業としての学問」は、学問の意義、学者になることの困難、等が述べられている。

両方とも有名な古典だが、この本は新訳だ。訳の巧拙はよくわからないが、訳者による括弧付きの補完が結構多く、割と自明なことまで補完してあり、うざいと感じることが多い。

白州次郎を知る

風の男 白洲次郎 (新潮文庫) Book 風の男 白洲次郎 (新潮文庫)

著者:青柳 恵介
販売元:新潮社
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最近、白州次郎がはやっているのだそうです。NHKのドラマでも取り上げられました。自分は全く知らなかったので、とりあえずこの手頃な一冊を読んでみました。
戦後を作った重要な人物なんですね・・・(日本国憲法の誕生・サンフランシスコ講和条約・通産省立ち上げ)。吉田茂の側近として活躍する。
若い頃(戦前)にイギリスに留学して、その思想に影響され、お洒落なことでも知られた。英語に堪能(これが後々生きる)。
曲がったことが嫌いで、非常に口が悪かったらしい。
かなり不思議な人ですね・・・
でも、自分とはほとんど重なる所がないかなあ。自由・平等・・・という点では近いところもあるのだけれど、あの貴族趣味みたいなのは自分には無縁だな。

社会の歪みを背負わされる若者

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

城 繁幸

光文社


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現代の世代間不公平の原因を、成果主義という名目において、実は保持されている年功序列や、正社員に対する厳しい解雇規制にあるということを述べている。社会のしわ寄せは、すべて、若者に負わされているのだ。最近の会社では、若者が活躍する余地が非常に狭められていて、正社員となった優秀な問題意識の高い若者は会社をやめてしまう。それが現在の若者の高い離職率となっている。ただし、一回正社員となってやめて、再就職を狙う人に対しては、労働市場が形成されつつあるが、新卒で正社員となれなかった(ならなかった)人には、極めて厳しい状況が待っている。そういう人を救う労働市場がないのだ。例えば、司法試験を目指したが挫折し、さて就職しようと思うと、(優秀であっても)極めて限られた選択になってしまう。この状況を自民党も民主党も労働組合も変えようとはしていない。正社員の利権が政治的にも守られているのだ。この状況を打破するには、解雇規制を緩くし、それに併せてより高齢者の雇用が流動的になる必要がある。この若者が閉塞される状況を打破しないことには、日本が再活性化することはないであろう。今の日本の産業は年寄りになってしまって、競争力を失っているのだ。

戦争責任とマックス・ウェーバー

ヴェルサイユ条約—マックス・ウェーバーとドイツの講和 (中公新書)

牧野 雅彦

中央公論新社


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を読んだ。社会学者マックス・ウェーバーは第一次大戦後のドイツの講和締結に携わった。講和の結果であるヴェルサイユ条約はドイツに対して、過酷なものであり、二度と国力を持てないようにとの意図があった。それが結果的にナチスを生むことになり、第二次世界大戦の時は、その反省を元に講和条約が結ばれた・・・というのは世界史の授業で習うところである。この本で問題になっているのは、第一次大戦の「戦争責任」である。我々は戦争責任というものを、割と当たり前のように受け止めているが、この当時その概念はなかった。ドイツに対し、戦争責任が課されることに対し、ウェーバーは鋭い反論を行った。当時のアメリカ大統領ウィルソンは講和前に示した十四箇条というのは、理想主義的なものであり、戦争責任という概念はなかった。しかし、実際に講和の段になって、アメリカの世論や、特にフランスの強い意向により、厳しい条約になったのだ。ドイツの自業自得的なところもあるのだろうが、戦争というもののむなしさ・難しさ等を感じざるを得ない。

自由の原点:アダム・スミス

アダム・スミス—『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)

堂目 卓生

中央公論新社


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道徳感情論に結構な量が割かれている。アダム・スミスというと「見えざる手」という言葉が一人歩きしていて、弱肉強食の市場主義者というイメージが強いが、道徳感情論で主張されているのは、モラルの大事さである。経済的な自由はモラルの裏付けがあって、初めて万人に対して豊かさをもたらすのだ。低いモラルを持ったものが、搾取したり、規制することによって利益を得ようとすることを、本当の豊かさに繋がらないとして、彼は否定した。国富論が書かれたのは、1775年前後、アメリカ独立戦争のころだ。植民地主義全盛の中、彼は囲い込み経済を否定し、自由な貿易が豊かさをもたらすことを説いた。彼の理想は未だ実現していない。しかし、その理念は200年以上経つ今でも色あせることはない。

自由とは?:ハイエクを読む

隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】

F.A. ハイエク

春秋社


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横浜ルミネの有隣堂にも平積みされていました。最近は、安易な「市場原理主義批判」が多くなっていますが、そういう風潮の中でも、「じゃあ自由や市場って何だろう」という疑問を持って、ハイエクにたどり着いている人がいるのだと思います。私もそういう一人になります。この本は第二次世界大戦中に書かれ、ハイエクも一般向けと言っているように、普通の人でも読みやすいものになっています。自由が人類の発展にとっていかに重要であったかということ。計画的経済が、いかに人間の意欲を奪い、それだけでなく経済的・政治的・思想的自由の全てを奪ってしまうかということ。経済の自由と政治の自由は切り離せないこと。社会主義はモラルを画一化し、独裁主義に陥ること・・・等が述べられています。

社会主義失敗の予言の書です。これが1940年前後に書かれたのはすごいことだと思います。

自由というものの大切さを痛感します。この本は自分にとって、思想的なコアになることだろうと思います。

アメリカと憲法

憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)

阿川 尚之

PHP研究所



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アメリカについていろいろ知ろうとして読んだ中の一つ(下巻も読んだ)。アメリカが憲法といかにつきあってきたかが、分かる。憲法の精神に近づき・離れしつつもの、必ず、その軸に憲法があるという態度は、日本の憲法に対する態度とはちょっと違う。憲法の重要性を実感する。日本では憲法問題は結構ダブーだ。見て見ぬふりするか・過剰に反応するか(右・左両方)に二分されるだろう。しかし、今、新しい憲法を作るというのは、かなり難しいように思われる。国としてのアイデンティティを置く場所が不明だ。

この本で一番感動的なのは、やはり、合衆国憲法の起草であろう。その中身については功罪あるだろうが、合衆国という一つの国を作るのだという執念が感じられる。

日本の農地はなくなる

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)

神門 善久

NTT出版


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本ブログのテーマをどんどん逸脱していきますが、印象に残ったのでレビューを・・・。

現在、農家がリッチになり、不動産屋さん的になっているというのは、何となく、マスコミ等を通じて感じていたことです。この本では、その現実と裏にある政治的な問題の本質を突くものです。

現代の農業が非効率な零細農家からなり、効率的な大規模な農家に移行していかない最大の原因は、農家が農地を転用売却することによるキャピタルゲインを期待していることにある。土地を農地として保有し、国の助成を受けて、農地的価値をあげて(=道路等も整備されるので、商業的価値もあがる。また、税負担も削減される)、そして農地以外の用途に売り切る、というのが零細農家の狙いである。一番、損をしているのは、真面目に農業のことを考えて、効率的な大規模農業をやろうとしている先進的農家である。この転売の仕組みを保護するために、JA・農水省・財界・マスコミ等がつるんで問題を先送りしている。このままでは日本の農地はなくなるだろう。しかし、この問題の本質には、市民が土地利用の問題に関して人(行政)任せにしている無責任主義がある。根本的解決には、日本人にとって非常に苦手な市民の協議による都市・土地計画を行うことが必要である。・・・ざっとまとめるとこういうような主張です。

ちょっと私の説明ではうまく伝わらないと思いますが、衝撃的な本です。300ページくらいですが、あっというまに読み終わりました。問題は深刻ですが、問題の質は極めて複雑で、難しいと感じました。また、マスコミによる安易な行政批判へのコントロールが指摘されています。その本質を見破るのは、(我々のような)普通の人には結構難しいと思いました。

こういう観点で書かれた本は少ないそうです。意見が政治的圧力でつぶされるからです。
是非、多くの人に読んでいただいて、問題意識を共有し、日本の農業を救いたいと感じました。

アメリカの思想を知る

アメリカの宗教右派 (中公新書ラクレ)

飯山 雅史

中央公論新社


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追跡・アメリカの思想家たち (新潮選書)

会田 弘継

新潮社


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今、一番気になる国といえば、アメリカ・・・ではないでしょうか。金融危機の震源地・大統領の交代・保守勢力の弱体化・・・。

アメリカを知る上で参考になる本を2冊ほど読んでみました。両者ともに、「リベラル」・「保守」といった、日本とのアナロジーのようなナイーブな理解ではとらえられない言葉について、詳しく解説されています。前者は、右派の歴史(建国当初の状況から現代のネオコンまで)的な経緯を知ることができます。後者は、ちょっと多くの思想家を取り上げているので多少散漫な感じはするのですが、アメリカ的な保守思想からリバタリアンまで知ることができます。

自分はアメリカをほとんど知らなかった(もっと世俗的な国だと思っていた)ので、参考になりました。おもしろい2冊です。

進歩しない人類

バブルの歴史—チューリップ恐慌からインターネット投機へ

エドワード チャンセラー

日経BP社


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この本を読むと、資本主義が始まってから、人類は同じ失敗を繰り返しているんだなというのがよくわかる。市場というものを飼い慣らすことができなくて、チューリップに始まって、CDSに至るまで、商品を替えつつ失敗している。2000年出版ですが、日本のバブル崩壊まで書いてあるので、比較的新しいところまでふれています。ニュートラルな立場で書かれていると思うので、歴史を知る上で結構興味深く読めます。

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