春の祭典を聴き比べる
明日,春の祭典の本番なのだが,せっかくやるのだからと思って今まで,買うか迷っていた,春の祭典100周年ボックスをSONY(10枚組)とDECCA(20枚組)の両方を買ってみた.印象に残った演奏をざっと書いてみる.自分は春の祭典って,ブーレーズとドラティがあればとりあえずいいかと思っていたが,新しい演奏もなかなか侮れないなと思った.
一番印象に残ったのは,マイケル・ティルソン・トーマス+サンフランシスコ響.完成度の高い演奏だと思った.後半のリズムのキレも鋭い.ライブだが録音も良い.
一番好みだったのは,サロネン+ロサンゼルス・フィル.モダンですっきりしてる.サウンドが良くて好みだった.
好みではないが価値が高そうだと思ったのが,ゲルギエフ+マリンスキー劇場.個性的.誰の演奏とも似ていない.うまく言えないが,いろいろと工夫した表現を仕掛けてくる感じ.録音はかなり良い(響きの多いやや風呂っぽい感じ→デイヴィス・コンセルトヘボウに少し近い録音).
この3つは,一度聞いて損はないように思った.その他印象に残った演奏としては,
カラヤン+ベルリン(1963).これはストラヴィンスキーが批判した演奏である(DECCAの解説に載っている).音が長すぎるそうで・・・.しかし,自分はこれは結構良い演奏だと思った.録音は結構良い(イエスキリスト教会.音が生々しく入ってる).一方,カラヤン+ベルリン(1976)は全然良くなかった・・・なんでだろう・・・.
レヴァイン+メトロポリタン歌劇場.やや雑なところもあるが,自分は嫌いじゃなかった.
ベイヌム+コンセルトヘボウ(1946).すごく古い録音で雑音も大きいが,このころのコンセルトヘボウは結構レベルが高いことが伝わってくる(後半に乱れはあるのだが・・・).
デュダメル+シモン・ボリバル・ユース.オケはハイレベルとは言いにくいのだが,サウンドのキャラが立ってて全体の個性が非常に明確で,印象に残った.良い演奏.(ベネズエラでできて,同じようなことがなぜアジアでできないのだろう・・・)
クラリネット的な分析も少ししようかと思ったが,並クラはあまり見せ場はない.目立った演奏はない.Es(D)とBassが聞き所となるが,もう少しちゃんと聴いたらまとめるかもしれない.
演奏会(12/7 春の祭典)
春の祭典の Cl 3 + Bass Cl 2で乗ります.
日時:2014年12月7日(日)14時開演
場所:オリンパスホール八王子
ナビゲーター:山田五郎
指揮:柳澤寿男,ピアノ:吉村美華子
管弦楽:世界平和コンサートへの道管弦楽団
曲目:
ベチリ(コソボ作曲家)/スピリット・オブ・トラディション
リスト/ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
ストラヴィンスキー/春の祭典
シューベルトのOctetをやった感想の一つとして…
シューベルトのOctetをやった感想の一つとして,シューベルトはアクセント書き過ぎ・・・.あれを律儀にやっていたら荒っぽくなってしまう.というか,多分,その音を強調するとか大事にするくらいの感覚にしないといけないのではと思う.これはグレートも同様だけど.
明日,戸塚ふれあい文化祭で,シューベルトの八重奏曲(第1楽章のみ)を演奏します…
明日,戸塚ふれあい文化祭で,シューベルトの八重奏曲(第1楽章のみ)を演奏します.
時間:10月25日 17時半〜19時半(自分たちの出番は最後)
場所:戸塚区民文化センター さくらプラザ
新世界は持ち替えすべきか?
来週の演奏会で新世界をやることになっている(2楽章だけだけど).新世界の管指定は,2楽章のみA,B管持ち替えで,その他はA管である.2楽章で,B管を使用する箇所はごくわずかで,いわゆる「レ〜ドレラド〜(でいいのかな)」のソロがある3箇所の近辺(持ち替えとしては2回)のみである.で,演奏会の他の3曲は,すべてA管使用だった(これは割りと珍しい).となると,まあ,普通に考えれば2楽章ちょっとだけだし,全曲A管で通そうかなと思うのが自然である.
しかし・・・実はこの2楽章のソロをA管で吹くと,(あの忌まわしい,ベーム式クラリネットの弱点である)ファ#から開始することになってしまう.そう,先日のグレートのときと同様の問題(2楽章をB管で吹くとファ#から入らなきゃいけない→管としては逆だけど)にぶちあたってしまうのである.
両方の管で試してみて,いろいろ考えたのだけど,結論としてはB管で行くことにした.A管だと何か感じがでない気がするのである.ファ#から入るのもイヤだけど,最後の伸ばしもミよりはミ♭のほうが感じが出やすい気がする.A管だと何か抜けた感じの雰囲気になってしまうのだ.もちろん,B管にすることによって,音程等の持ち替えリスクが発生する.しかし,ここの持ち替えの難易度は高くない.持ち替えてすぐソロではなく,その前にちょっと吹けるので音程は調整できるし,A管→B管は,その逆に比べると自分は気が楽だ(ここは人によって違うかもしれない.自分はB→Aだと鳴らしきれないことがある).
ただ,これは個人の気分の問題で,聞いてる側にはあまりわからないんじゃないか,という意見はあるだろう.そこで,参考に自分の持っているCD(7枚)はA・B管どっちかを確認してみた.指の動きから判定できるかと思ったが(B管だと2個めで3本動くとか),B管もありそうにも思えるのだが,決定的にはわからなかった(特にエーラーの場合がわからない).
ちなみに,その出演予定の演奏会の案内はこちら(戸塚区文化協会ホームページ)に掲載されてる.
自分はなぜ状況に応じた演奏を心がけないのか
自分は演奏のポリシーとして,オケなのか吹奏楽なのか室内楽かとか,ホールが大きいのか小さいのかとか,状況に応じて演奏することをあまりしない(意識しない)ようにしています.その理由はうまく説明しにくいのですが,野球のピッチャーに例えるならば,新しい慣れない球場に行ったら,マウンドの傾斜が若干違っていて,それに対応しようとバランスを調整したら,腕の振りが鈍くなってホームラン打たれた・・・みたいな感じを避けるためになります.
自分はこのようなミスを過去何度もやったことがあって,素人はとにかく細かいこと考えずに全力尽くすほうが,後悔しないことが多いのかなという気がします.ピッチャーの腕の振りは,管楽器だと息のスピードに相当します.余計なこと考えて音が死ぬというのはよくあるパターンです.
また,頭で理解して意識して何かするというのは,演奏においては極めて危険だと思っていて(これはスポーツも同じだと思う),多くの場合,過剰な対応をしがちです.頭で考えずに,感覚だけで自然と修正されるようじゃないとおかしくなる(例えば,ホールの響きの対応にしても).
状況に応じてやれと,よくアマチュアでも言う人がいますが,それってかなり高度なテクニックだと思うわけです.それほど自信のない我々は,多くの状況に対応しやすいニュートラルな演奏を心がけるほうが無難だと思います・・・(自分の考え方は結構リスク回避的).どれをやっても帯に短したすきに長しって感じになるかもしれませんがね.
演奏会へのコメント
先日の演奏会でクラリネットに触れたコメントを見つけたので,記録しました.みなさまありがとうございました・・・.指揮者に真っ先に駆け寄られた意識がない・・・
BAD BOYの「目指せGOOD BOY化計画」- 戸塚区民オーケストラ、第26回定期演奏会に行ってきました。
Sym.2, Hindemith Variations / Weber Variations: Szell / Cleveland.o : Walton / Hindemith
ヒンデミットは現代の演奏や録音のレベルから考えると,古いのかなという感じ.Waltonはちゃんと聴いたのは初めてだが,何かイギリスの吹奏楽オリジナル曲みたい・・・って,本当は影響が逆なんだろうけど・・・.本流じゃない第三世界的なおもしろさというか.セルがこういう曲の録音を残しているのは興味深い.
グレートの大変さについて
先日の演奏会では,グレートの1stをやったわけだが,とても大変だった.しかし,なぜ大変かも何となくわかったので記録しておく.グレートのクラリネットは鬼門だな〜と昔から思っていた.いろいろ録音聴いてもあまり良いと思うことが少なかったし(そんな中で,ケルテス+ウィーンとセル+クリーブランドはかなり良かった).
グレートのクラリネットがイマイチ美しい感じにならない理由は,大きく2つあって・・・
1.パワーが要求される
自分は,グレートはバランスの取りにくい曲だと思う.Trbが多用されるのも困ったものだし,木管が埋もれやすいところが結構ある.かなり頑張って吹かなきゃいけないし,アクセントやfpが多く使われるのもイヤ.そして,柔らかく吹かなきゃいけないところできちんと切り替えができない結果になることが多い.自分は結局アシスタントつけたが,アマチュアでやるならこの曲は倍管でやったほうが良いのではと思った.しかし,このことは割りと明らかなこと.
2.実音Eの音が多用されること
これは実際やってみて気づいたこと.練習のときに,指導の先生に「グレートはミが多い曲だよね」と言われて,確かにそうだなと思った.大事なところでミの音が多用される.しかし,ミというのはベーム式クラリネットの欠点であり,音が極めて開きやすい(エーラー式ならこの問題は多分ない).この問題は,C管を使うことにより回避は可能だが,C管を使うことにより生じる問題も出てくるから,なかなか難しい.自分は2楽章までB管を使ったから(持ち替えのピッチ問題が解決できなかった),さらにこの問題は深刻だった・・・
最後に持ち替えの問題にふれとく.楽譜指定は,1,3,4楽章がCで,2楽章がAである.最近の流行は指定どおりにやることで,オリジナル楽器なら当然そうだろうし(推定だが),N響の最近の演奏でもそうしていたようだった.自分は,C管が嫌いな人間なので,最近の流行は受け入れがたく,C管の演奏を聴くたびにB管でやれば良いのにと思うことがほとんどである.ただし,C管を使えば上記2の問題は解決されるし,ピッチ的にも合わせやすくはなるの「かも」しれない.で,C管を持たない素人は,B管を使うことになるのだが,2楽章への持ち替えがかなりシビアである.2楽章の冒頭でパーフェクトにObと合わせなきゃいけないのだが,これが素人にはなかなか難しい.よくある失敗が,1楽章でガリガリ吹いて2楽章の冒頭を迎えると,Obのピッチが上がっていて,持ち替えでピッチが上がり切らないClが追いつかなくなるケースである.自分は,A管がややフラット気味ということもあって,なかなかうまくいかなくて,結局B管で全部通すことにした(この判断には中プロでBass Clをやらなきゃいけないことも大きく影響した).これは苦渋の選択である.これによって,2楽章においても上記2の問題を抱えてしまう.#系となるので,音色的に明るくなりすぎてしまうし,A管でやれば何でもないことが,いろいろ難しくなってしまう.ちなみにB管の楽譜はネットに転がっていて容易に入手できるから,そうする人もいるのだろう.しかし,CDで聴く限りではB管でやっている例はないと思う.これは今回の演奏会で悔いが残る点である.
『エドゥアルド・マータ・イヤーズ』~ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、レスピーギ、イベール、他 ダラス響
『エドゥアルド・マータ・イヤーズ』~ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、レスピーギ、イベール、他 ダラス響
マータはバランス感覚に優れた優秀なオーケストラビルダーだと思う.バーミンガムのラトルや,ラハティのヴァンスカとか,そういった類の仕事.自分はこういう仕事がとても好き.録音の良さも,助けになっている.