先日、幻想のEs Clの練習トラをやった(Es Clをオケで吹くのは初めて)。諸処の事情で、使用する楽譜を当日に受け取ることになっていたので、オケスタ等を見て事前に練習していた。で、いざ練習当日、正式な楽譜で吹いてみたら、練習していた楽譜と装飾の入れ方が違っていて面食らった。
練習していた楽譜はこれである(第5楽章の48〜53小節を抜粋。この箇所以外は一致している)。こちらのほうが一般に馴染み深いのではなかろうか?
で、こちらがその団体で使用されていた版。ベーレンライター版である(楽譜には1972とある)。
装飾音符が増えていることもあるが、一番大きな差異は52小節目のトリルの有無だろう。
まず、最近、幻想のCDを大量購入していたので、どうしているかを確認してみようとした。確認対象は、カラヤン(フィルハーモニア)・クレンペラー・ガーディナー・ミュンシュ(フランス国立・パリ管)・ブーレーズ(ロンドン響)・アバド(シカゴ響)・マルケヴィッチである。しかし・・・細かい装飾音符のほうは正直分かりづらくて、面倒になったのでちゃんと確認できていない。多分、上の楽譜のパターンのほうが多い。52小節目でトリルを入れていないのは、ガーディナーだけだった。私の持っていた録音は古いものが多かったので、このような結果になったのであろう。1972年に「初めて」この形で出版されたのであれば、それ以前の録音であるカラヤン・ミュンシュ・ブーレーズ等にそれが反映することはありえない。私は楽譜に詳しくないのだが、最近はベーレンライター版を使う機会は多いし、これが今後の標準になっていくのであろうか。比較的新しい録音でも確認してみたいところだ。
本来、どうすべきか?ということも、素人ながらちょっとだけ考えた。まず、細かい装飾音符は普通に考えて入れたほうがよいという気がする。その前後から考えて、その辺りの装飾の少なさは違和感がある。52小節目のトリルは、素人的視点からは入れちゃってダメなのかなぁという気もする。このトリルは割りと鳴りやすく気持よく鳴らすことができるからだ。しかし、入れるべきかを前後の関係から論理的に推定することができない。ここの箇所は2小節の上昇下降パターンが4回繰り返されている。その4つでそこ(1小節目の2泊目)のトリルのあるなしを言うと、上の楽譜が「なし・ある・ある・なし」、ベーレンライターが「なし・ある・なし・なし」となる。これがシンメトリーになっていたりすれば、そっちが正しいんじゃないか?という邪推もできるのだが、そうはなっていないのだ。
このようなメジャーで身近な曲で、こんなに大きな違いがあるということが驚きだったので、ちょっと詳しく書いてみた。プロの意見も聞きたいところだ。アマオケ奏者も知っておいてよい知識だと思う。
私が2年前にオケで演奏したときに使ったのは、1972年と書かれたベーレンライター版でした。
私もEsClのオーケストラスタディーで事前に見ていたのと異なっていたので、ちょっと面食らいました。
1977年コピーライトのEulenburgのミニスコアでは、追加されている装飾音符はカッコ書きされていました。
結局、52小節目のトリルは、入れずに演奏しました。この部分はPiccoloもかぶっているので、Piccoloと揃えた方がいいと思い、譜面通りとしました。
なんでそうなっているのかは、その時は追求しませんでした。1972年にベーレンライター版が出版されたとき、どのような校訂が行われたのか、興味があります。
コメントありがとうございます。今、手元の日本楽譜のスコア(古い。年は書いてない)を見たら細かい装飾音符はないが、52小節目のトリルはない、というパターンでした・・・。素人っぽく考えると装飾音符は多め多めに倒したくなりますが、そうでもないところが不思議なところですよね・・・