自分が(今は亡き)高校の恩師に今でも感謝していることは、「ミックス音」の重要性を叩き込まれたことにある。管楽器の一番の長所はミックス音なんだと(仙台弁で)力説された。それは、複数の種類の楽器が組み合わさることによって、違う色の音が出る、それが美しいということである。
これはどこに行っても非常に役に立った。吹奏楽では勿論、オーケストラでも使うことができた。クラリネットは、オーケストラの中では響きの「糊(のり)」のような存在なので、ミックス音は重要だ。
イメージとしては、楽器の組み合わせによる音のパレットを持っているという感じである。自分の場合、イメージができる組み合わせは、Cl-Fg、Cl-Fl、Cl-Ob、Cl-Hr、Cl-Fl-Fg、Cl-Ob-Fg、Cl-Fl-Ob-Fg、Cl-Vnくらいであろうか。オーケストラの中でその組み合わせが発生したら、淡々とカードを切るようにミックス音を作る。ポイントは多分最適なバランスだろう。音が厳密に合う必要はそれほどない。
こういうイメージを持っている人と一緒に吹くのは楽しい。一方、結構吹ける人でもこのようなイメージを持っていない人もいる。それは非常にもったいないことだ。