不干斎ハビアン—神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書) 釈 徹宗 新潮社 このアイテムの詳細を見る |
不干斎ハビアンとは、1600年前後に生きた宗教家で、禅宗からスタートし、キリシタンの論客として名をはせ、後に棄教して反キリシタンとなった人物である。彼の書いた「妙貞問答」は、キリシタン擁護の書であるが、仏教・儒教・神道・キリスト教の比較宗教論になっている。この時期の日本でこれだけのことを書けたのは画期的だろう。しかし、著者は少しハビアンへの思い入れが強く、肯定的にとらえているが、自分がその引用から少しだけのぞいた感じでは、あまり深い議論とは思えない。キリシタンのバイアスがかかっている分析ではないだろうか。人物としては興味深く、山本七平などの日本研究者も取り上げている。