アメリカ大恐慌—「忘れられた人々」の物語(下) アミティ・シュレーズ エヌティティ出版 このアイテムの詳細を見る |
先日のレポートの下巻。副題の「忘れられた人々」にはいろいろな人があてはまると思われるが、一つには、ニューディール時代に不遇で、政府から悪者にしたてられた、保守主義者(というか競争を信じる意味での自由主義者)にスポットがあてられている。TVAに事業を妨害された電力業者や、中間搾取として訴えられたユダヤ人の鶏肉卸売り業者等、市場と競争のアメリカ的世界で成功者であったはずの人達が、悪者としてつるし上げにあう様子が描かれている。この本は解説にあるように、やや保守主義的なニューディールに否定的な見方に偏ったところがあるが、大恐慌の混乱と不信の中でこのようなことがあったことを記憶にとどめておくことは、今日の我々にとっても悪くないであろう。