とりあえず、この人については最初に書かないといけないでしょう。一般には、ライスターの音は、典型的なドイツ式の音であると考えられることが多いですが、私は必ずしもそうではないと思います。ドイツのクラリネット他の演奏や、昔のライスターの演奏を聞くと、特にそう思います。昔のドイツのプレーヤである、フルヴェン時代のベルリンフィルや、ライスターの師であるゴイザーなどは、こんな柔らかく豊かな音は出していない。もっと素朴で、若干線が細い感じです(しかし、これは、録音にも原因ありますが)。ライスターの柔らかさはどちらかというと、フランス・ウィーン・イギリスなど国外から、そのイメージを取り入れているように、私は感じます。昔のライスターは、今よりずっと音が細くかったと思います。(カラヤンとのモーツァルトの録音を聞けばわかる)で、ある時期からインターナショナルな音に目覚めて今のような国籍不明の偉大な音を獲得できたのだと思います還暦すぎてもすばらしい演奏をしています(最近出たSoloというCDも立派な演奏でした)。いわゆる太い音とは少し違うと思いますが、響きの幅がすばらしいです。
でも、私が不満なのは、ライスターには録音に歴史に残るような名演がないような気がする、ということです。ライスター本人は音が良くてうまいけど、総合的に見ると名演とは言い難いという録音が多いと思います。これは、私の持っているCDの数が少ないからなのかもしれません。私の知っている範囲のライスターの最も名演は、若いころのブラームスの三重奏です。これは、昔の音のころの録音なので、本当のライスターの魅力を伝えません。どなたか、新しいライスターの録音で名演があれば教えてほしいと思っています。(モーツァルトのコンチェルトも結局カラヤンとのやつが良いということにはならないか?)それに比べると、ストルツマンは、本人はそれほどうまくはないのかもしれませんが、ブラームスの三重奏と五重奏のCDは名演だと私は思っています(組んでる相手が良い)。期待度の違いかもしれません。ライスターは、組む相手に恵まれていない・・・のか何なのかよくわかりませんが、残念なことと思います。まあ、ライスター自体がまずいときもあります・・・名演とされるシュポアがそうだと思います。私の感覚ではかなり棒吹きで、魅力に欠けると思いました。ライスターはあまり、曲によって表現を変えるというよりは、マイペース気味で、うまくはまらないといい演奏にならないように思います。(他の例としては、アマデウス四重奏団とのブラームス五重奏もあまり良くないと思う)